「失恋ショコラティエ」で学ぶ自分を好きになる方法

目次

1)はじめに

失恋ショコラティエ」はタイトル通り、失恋がメインテーマの漫画である。

失恋の痛みであったり切なさを見事に描き切った名作だ。えぐられた人も多いだろう。

 

彼女に振られた自分は「失恋ショコラティエ」を大人買いし、場所を問わず号泣した。

会社の休憩所で顔を抑えたり、電車内でハンカチを顔に押し付けてる人がいたら、多分僕です。

 

さて、「失恋ショコラティエ」にはサエコさんエレナ薫子さんまつりちゃん四人のヒロインが登場する。

 

 サエコさんを除く三人には共通点がある。それは、自分に自信がない、言い換えれば自分のことがあまり好きではない描写が少なくないのだ

サエコさんが剛のものすぎてそう感じるだけかもだが)

 

そんな彼女たちも、最終回に近くにつれ、少しずつ成長し、強くなっていく。

そこから自分を好きになる方法について何かしら得るものがあるのではないだろうか。

 

そこで、サエコさん以外のヒロイン、つまり、エレナ、薫子さん、まつりちゃんに注目することにより自分を好きになる方法について考察していく。

 

ただしネタバレを含んでいるので、読んでいない方はご注意。

 

 

2)エレナと薫子さんの場合 

エレナは爽太と戦わずにいたことを後悔していた。

「やり直せるなら戦いたい…

上手くいかなくても成功しなくてもいいから戦いたいよ…」

この場面でえぐられた人も多いだろう。僕もえぐられました。友達ですね。

そんなエレナも、六道からの言葉を思い出し、爽太と対決することを選ぶ。

ちゃんと自分に全てを話して欲しいと。

 

一方、薫子さんも、片思いしていた爽太にハッパをかけることにより、けじめをつける。

「本当に悪いと思っててバツを受けたいなら

加藤えれなさんから受けなよ!!」 

この場面でえぐられた人も多いだろう。僕もえぐられました。友達ですね。

薫子さんは、サエコや関谷との出会いを通じて、自分を褒められるような生き方を選んだのだ。

 

二人のエピソードは自分のことを好きになるために大切なことを教えてくれる。

何かに対して、ちゃんと向き合って戦った時。

自分に「よくやったね」と言えるような生き方ができた時。

そんな時、少しだけ自分を好きになれないだろうか。

 

3)まつりちゃんの場合

しかし、まつりちゃんに限っては、クライマックスに明確に何かを乗り越えるという場面がない。

最終回近くでも割とふわふわうじうじしている。

というか作品を通じて、まつりちゃんはオリヴィエに流されているという印象が強い。

 

けれど、まつりちゃん(とオリヴィエ)のエピソードは、自分を好きになる上で一番重要なことを示していると思う。

 

まつりちゃんはオリヴィエと関わっていく中で、葛藤を繰り返しながら少しずつ前に進んでいく。二股彼氏との関係を切り、時にオリヴィエと衝突しながら、色々な好きの形を知り、愛を育んでいく。

 

人との出会いによって成長していく姿。

それこそが、エレナと薫子さんにも通じる、自分を好きになるということの本質なのかなと思う。

 

身も蓋もないが、人との出会いこそが自分を好きになるためには必要なのだと思う。

 

4)最後に自分の場合

というか、なぜこの記事を書いたかというと、自分も似たような経験をしたことがあるからだ。ということで以下では自分の話をする。どこまでも月並みな話だが。

 

自分はなんというか傷つきやすい性格である。 

人に言われたことをいつまでも引きずってしまう面倒な性格をしている。

 

だから、高校に入ったぐらいから人と深く関わるのを避けてきた。

ずっとぼっちだったし、人と話していても気を使って疲れていた記憶しかない。

人間関係で失敗しない一番の方法は相手に深く関わらないことだ。

 

そんな自分だが、大学の四回生ぐらいに女の子の友達ができた。

爽太とエレナじゃないが、お互いふわふわした関係を続けていた。

 

最初はどーでもいいと思っていたが、知り合っていくうちに段々とその娘のことが好きになっていった。

なんというか、人と会うといつも気疲れするのに、その子と会うとそういうことが少なかった。自分にとって初めての体験であった。あとモテない理系大学生でしたし。

 

その子と過ごすうちに、 ちゃんと人と向き合える人間になりたいと思うようになった。

もっとはっきりいえば、この子とちゃんと向き合って付き合いたいと思った。

どこかで、いつまでも浅い関係しか築けないのはダメだと思っていたのもあった。

また今思えば、浅いつながりだけでは、彼女がどこかに行ってしまうような気がして怖かったのだと思う。

うわーチキンだわーサイテー!! (by薫子さん) 

 

とにもかくにも告白しようと思った。

だがしかし、経験のある人なら分かると思うが、こういうふわふわした関係の人に告白するってめちゃくちゃ緊張する。

人と適当な関係を築いてきた自分ならなおさらだ。自分の本当の気持ちを伝えようとすると、なぜか涙が出てきてしまう。

 

変な話だが、告白しようと思っていた時期は鬱みたいな状態だった。

心の中で、だからお前はダメなんだとか、今までの失敗とかが押し寄せてきていた。 

だけど、ちゃんと人と向き合える人間になりたかった。

 

めちゃくちゃ頑張って、夜景の綺麗なところで告白した。いつもの二人みたいなグダグダな感じだった。めちゃくちゃ緊張したが。結果はOKだった。

 

あの時ほど、自分に対して「よくやった」と思ったことはない。

告白が成功したからではなく、自分の気持ちを伝えられたのが嬉しかったからだ。

本当に今までの自分じゃありえないことを成し遂げたと思った。

 

結局、数ヶ月後にその子に振られて、「失恋ショコラティエ」を読むことになったが。

けれど、告白したことを後悔していない。

あの瞬間のおかげで、自分のことが少し好きになれたと思うのだ。

 

昔は、自分に対して、いつもヘラヘラなよなよしているなと思っていた。正直好きとも嫌いとも思っていなかった。時々、すごい嫌いだったが。

 でも今は、普段はヘラヘラしてしょーもないやつだけど、まーやる時はやるし、トータルではいいやつだと自分で思う。

言い換えれば、昔の自分とは友達になれないと思うけれど、今の自分とは友達になれそうな気がする。

 

でもそう思わせてくれたのは、やはりその彼女との出会いなのだと思う。